レベル95少女の試練と挫折/汀こるもの

短編2つ、中編1つ、みたいな。

 
レベル99で始まったシリーズも5冊目。
最初は人間味の薄かった市子も芹香や楓と関わり始めたことでレベルも下がり人間味も増していった…のかな。
こるもの先生の本は心に刺さってくるんだけど、その感想を言葉にしようとするとなんか難しい。
 
1話目。
幼かった時の市子が宇宙人(神様もどき)を作ろうとして失敗してしまう話。
死は死でしかなくて、そこいは尊いも軽蔑もなくて、生きている人たちは変にそこから何かを学び取ろうとしてはいけない。っていうのはれべきゅーシリーズ読んでると感じることではある。
ただただ生きて、死ぬ。
悲惨に死んだから神様として祀られなければいけないの、と問うたエインセルの感覚もわかるなぁ…
最後にエインセルのことを先生に言えなかったと泣く市子は、だいぶ「普通」に近づいたような気がする。99の頃の彼女だったら容赦なく先生に「今」を伝えて先生を傷つけたというか、救いのない方向に持って行ったんじゃないかな。
 
2話目。
大雅さん版きさらぎ駅。
視点が大雅さんで進行していく珍しい感じの話。タブレットで会話している相手がどう考えても人間ではないのはわかってるんだけど、その正体がちらっと話に出てきた「その昔大雅さんをさらった妖怪」だったとは…
花の名前を憶えていなくても、その存在を憶えていたから彼女とまた再び会うことができて、別れることができた。
これを良しとするのを市子が受け入れられるようになるのはまだまだ先なんだろうなぁ。今は大量の妖を自分が従えているにも関わらず、大雅さんがあっさり彼女と別れてしまったのは理解できないとうか、引け目を感じているのではないだろうか。
 
3話目。
少女たちが願いを叶えるためにカードで戦うウィクロス
今まで芹香よりも一般人枠だった楓が妖怪カードバトルに巻き込まれて、市子と喧嘩したり仲直りしたりするお話。
楓もちゃんと考えて戦略練ったり、クイーンを倒すために自分が囮になることを申し出たり、ただ妖怪たちに振り回されるだけじゃない子なんだって言うのがわかって面白かったな。
最後にそれぞれのワルキューレが持ち主(と、縁のある人)のところにカードとして還っていく場面がこるもの先生なのに(失礼)ぐっと来てしまってちょっと涙腺が緩んだ。
フレーバーテキストがまた良いんだ…
輪湖のワルキューレだったオルトリンデのメッセージがねー。輪湖はオルトリンデにとって全く良い城主ではなかった。それでもオルトリンデは輪湖のことを慕って、希望のある言葉を彼女に投げかけた。
輪湖もオルトリンデのことを大切に思っていた。どこかで願い方を少し間違えてしまっただけだったんだ。
そしてジークルーネが楓に宛てたメッセージはお互いを信頼していたのがわかる、気持ちのいいメッセージですごく読後感が良かった。
これが最後の話で良かった…

なんて思いながらpixivあとがきを読んでたら、増刷かからなかったら打ち切りですって…!?
kindleで買ってしまったよ!れべきゅーシリーズ全部kindleで揃えてたからああああ。
い、今からでも紙で揃え直した方が良いのでは、と真剣に考えてしまう。
THANATOSもさらまんどらも続きが読みたいシリーズだけど、中学生という精神的にまだ柔らかい市子が他の人たちと関わって、どうなっていくのかがすごく読みたいんだもの…!